高齢化社会により、高齢運転者の交通事故が増加
高齢者は以前は歩行者として被害に遭うケースがほとんどだったが、
いまはドライバーとして加害者側になることもまれではなくなっています。
地方では、子どもが独立して、年寄り二人。電車もバスもなく、車がないと買い物や病院にも行けないという状況が多いのも背景のひとつ。
70歳以上の高齢者の運転免許保有者数は507万人 (平成16年末現在)で、前年対比33万9千人の増加、 10年前に比べると何と2.5倍になっています。
そのため運転中の高齢者が引き起こした交通事故件数も増加しています。 その伸び率は10年前に比べ2.8倍、運転免許保有者数の伸び率を上回っています。
運転の経験も豊富なベテランドライバーである高齢者の事故がどうして多くなっているのでしょうか?
高齢者事故の特徴について「身体的機能の低下が自覚できていないため、 それに起因する事故が目立つ」と分析しています。
視界が狭くなり、安全確認が不十分だったり、標識の見落としが目立つほか、とっさの判断に時間がかかる―などが代表例です。
高齢者講習を手掛ける自動車教習所は、「事故回避のポイントは同時に複数の状況を判断する能力。
高齢者ドライバーの場合、その能力が全体に低下傾向にある」と指摘しています。
身体機能の低下を実感しながらも、「身分証明書に」との理由で運転免許証を所持し続ける高齢者も多いそうです。
2002年の道交法改正で、高齢や健康上の理由から免許証を返納した人を対象に「運転経歴証明書」 を発行する制度ができています。
一般への浸透はいまひとつですが、以前、免許証を持っていたことを証明し、身分証明書として使えます。